team expression

背景/目的

生物の体内では遺伝子の発現という現象により様々な機能を持つタンパク質が生成されており, タンパク質の働きにより生物は複雑な機能を制御しています. また,遺伝子はネットワークを形成しお互いの発現を促進・抑制などの制御をしながら発現することが知られています. 本研究チームでは,遺伝子発現プロファイルという遺伝子の発現の様子を記録したものを解析することによって, 遺伝子の発現関係や遺伝子制御ネットワークの推定などをおこなっています. ある遺伝子が他に比べて多く発現しているところは,その遺伝子が持つ機能もよく働いていると考えることが出来ます. マイクロアレイは同時に多数の遺伝子の挙動を計測することができるため,巨大なデータに対応する必要があります.

研究テーマ例

遺伝子制御ネットワーク解析

我々の研究室で扱っている内容の1つに,「脂肪細胞への分化する際の遺伝子制御ネットワークを推定する」 というテーマがあります. 細胞は機能や形を必要に応じて変化させて分化と呼ばれる反応を行います. 例えば,エネルギーを蓄えるための脂肪細胞は,間葉系幹細胞という筋肉や骨にもなる細胞から分化します. この細胞分化が起こっている間は,働く遺伝子がどんどんと変わっていくことが知られています. そのため,分化前と分化後では細胞の機能や形が変化します.

遺伝子同士は制御関係をもつことをがわかっており,ある遺伝子が働くと別の遺伝子も働くようになります. 遺伝子の制御関係は遺伝子制御ネットワークと呼ばれるネットワーク状に描かれます. この研究では,活性化しているネットワークの部分がどのような仕組みで変わっていくのかを計算機を用いてシミュレーションし, 仮説モデルを検証することが研究の対象になっています. この研究では,ネットワークモデルの知識だけでなく,機械学習,データマイニングといったデータ処理やメカニズムの 仮説を立てる力が必要になります. この研究を通じて脂肪細胞の分化についての理解が深まれば, 肥満の抑制などによる生活習慣病の改善などの医療への応用が可能になると考えられています.

研究実績
  • Mitsuhiro Eto, Shigeto Seno, Yoichi Takenaka, Hideo Matsuda, “Clustering of cells for single cell analysis using Latent Dirichlet Allocation”, ISMB/ECCB2017, Prague, Czech Republic, B-071 (2017.7).
  • 江藤充宏, 瀬尾茂人, 竹中要一, 松田秀雄, “一細胞解析のための潜在的ディリクレ配分法を用いた遺伝子群の機能予測手法”, 第5回NGS現場の会 (2017.5).
  • D1草田さん,B4斎藤さんが第45回バイオ情報学研究発表会で発表しました.2016/3/8–3/9
  • M2藏重さん,B4水野さんが第107回数理モデル化と問題解決研究発表会で発表しました.2016/3/3–3/4
  • B4藤代さんが第201回CVIM研究会で発表しました.2015/7/1–7/3
  • 竹中先生,M2吉田さんが第4回NGS現場の会で発表しました.2015/6/23–6/25
  • M1上木さんが情報処理学会第42回バイオ情報学研究会で発表しました.2015/6/18–6/19
  • 瀬尾先生,M2藏重さん,M1松原さんがバイオイメージ・インフォマティクスワークショップ2015で発表しました.2015/3/14
  • B4田口さんが生体医用画像研究会 第2回若手発表会で発表しました.2014/10/8–10/10
  • M2福田さん,M1藏重さんがBioimageInformatics2014で発表しました.2014/9/19
  • M1藏重さん,吉田さんが情報処理学会第39回バイオ情報学研究会で発表しました.2014/8/27
  • IT連携フォーラムOACIS第45回技術座談会で松田研のシーズを紹介します.2014/7/31–8/2
  • M2松下さんがInCoB2014で発表しました.2014/6/25–6/27
  • M1津田さんが情報処理学会第38回バイオ情報学研究会で発表しました.2014/6/9–6/10
  • M2福田さんがバイオイメージ・インフォマティクスワークショップ2014 で発表しました.